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その表情で、全部悟った。
彼はほんとは覚えてるんだ、あの夜泣きながら縋った、私のあの姿を。
全身の血が沸騰したみたいに、急速に熱が上がる。
耳も顔も首も、熱い。
あの夜の、あの姿。
彼は覚えているなら、再会した時の私の強気な可愛げのない態度は、彼にはどう映っていたのだろう。
あの夜の下手な挑発は?
「……やだ」
恥ずかしくて、顔中から火を噴きそうだった。
とてもじゃないけど彼の顔など見れなくて、私の顔など見せられなくて。
肩を押して離れようとしたけれど、彼はびくともしなくて私は諦めて顔を覆って横向きに寝転がった。
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