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「覚えてるなんて言ったら逃げそうだった」
「そ、れは……」
確かに、再会したその時点ではもしかしたら。
逃げた……かも、しれないけど。
「逃がさないけどな」
額にキスが落ちてくる。
咄嗟に目を閉じたら、また1つ、涙の筋が増えた。
「なんで……」
「泣いてでも、好きなものは好き、寂しいときは寂しいって言えばいい」
無数のキスを受けながら、伝わる。
「それって……」
酔っている彼はいつもより少し饒舌で、ひとつひとつの不可解だった彼の言動の謎が解けた気がする。
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