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もしかしたら、彼は。
いつからか、こんな関係になってからなのかそこはわからないけれど。
「藤井さんって」
「ん」
今もこうして、肌に触れる唇も、指先も
目を閉じてただ素直に受け止めれば
こんなにただただ、優しい。
「もしかして、私のこと。すごく、好き、なんじゃ……」
こんな己惚れた一言を口にするのは気が引けて、ついとぎれとぎれになってしまうけれど。
私の一言でぴたりと動きを止めた、バツの悪そうなその表情で、思い違いではないと確信した。
だって、そう思えば、すべてがすとんと胸に落ち着く。
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