似た者同士-2

20/23
709人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
もしかしたら、彼は。 いつからか、こんな関係になってからなのかそこはわからないけれど。 「藤井さんって」 「ん」 今もこうして、肌に触れる唇も、指先も 目を閉じてただ素直に受け止めれば こんなにただただ、優しい。 「もしかして、私のこと。すごく、好き、なんじゃ……」 こんな己惚れた一言を口にするのは気が引けて、ついとぎれとぎれになってしまうけれど。 私の一言でぴたりと動きを止めた、バツの悪そうなその表情で、思い違いではないと確信した。 だって、そう思えば、すべてがすとんと胸に落ち着く。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!