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まだ余韻で肌がひどく敏感で、彼の吐息にすら触れるだけで痺れて蕩ける、そんな心地よさに身を預けていた時だった。
微かに聞こえる、携帯の着信音に意識を呼び戻された。
「……ふじー、さん。携帯が」
まだ身体に絡み付いて離れない藤井さんの腕の中で、音のする方に手を伸ばす。
聞き慣れた着信音、私の。
携帯は、バッグの中……確か、この辺の、足下。
腰に絡み付く腕に邪魔されながら、懸命に手を伸ばしてベッド下に落ちている筈の携帯を手探りで探す。
その着信音は、仕事関係の人からの着信に設定したもので、そのことに思い至って徐々に頭の靄が晴れていく。
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