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「……あった。もう……藤井さん、まだお酒臭い」
ほんとに弱いんだから、と苦笑いをしながら携帯を鞄から取り出した。
彼の顔を覗くと、目を閉じて寝入っているようで、その髪を指ですいても目を覚ます気配はない。
携帯の画面に視線を移すと、そこには杉浦さんの名前が表示されていて。
瞬時に、嫌な予感がした。
「もしもし?」
通話に切り替え耳に当てて、すぐにすすり泣きのような声が聞こえる。
「杉浦さん?どうしたの?」
『と、豊田さ……すみませっ……』
私の名前を呼んだあと、彼女は謝りながら、泣き声をあげた。
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