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暫く電話の向こうで何かを話していて、大きな笑い声まで聞こえた。
本当に、彼の立場を悪くせずに済んだのだろうかと不安だったが、その和やかな様子に安堵する。
『少し待てるか』
「え、ここで? 待てるけど……」
『すぐ帰る。今日はどうせもう仕事にならねえし』
三十分くらい、と言い残して、通話は切れた。
なんだろう、この。
あんなに謝らなくちゃと、頭のなかでいろんな言葉を並べていたのに、拍子抜けというか……気は楽になったけど。
もう顔を見ても、こちらから言い出すタイミングも見つからないかも。
そう、思っていたけれど。
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