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てっきり車なのかと思ったら、彼は駅の改札から姿を見せた。
長身の彼は、混んでいても遠くからでもすぐに見つけることができる。
その顔を見たら……やっぱり呑気になど出来なかった。
近づくほどによくわかり、申し訳無さばかりが胸に溢れる。
「ごめ……ごめんなさい。私のせいで」
彼が改札を抜けて目の前に来た時には、俯いて涙が止まらなくなった。
恐らく警察を出て職場に直行していたのだろう、いつもは小綺麗にしている彼が、二日前と同じスーツでシャツはよれよれで、髪も少し乱れていた。
表情だけはいつもと変わらないのが救いだった。
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