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「そんな泣くほどのことか」
「泣くよ、だって」
呆れたような声が頭上から降ってくる。
以前は、この身長差が威圧されてるみたいで嫌だった。
だけど今は、胸元に頭を預けられる高さがすごく心地よくて安心できる。
私の頭に手のひらを乗せて、藤井さんが言った。
「調教を間違えた」
「は?」
「まて、からちゃんと教えるべきだった」
「……犬?」
こっち、真剣に謝ってるのに。
犬扱いって……。
ずず、と鼻をすすって見上げると、やっぱり上から目線で意地悪に笑ってた。
けど。
「……次からは、ちゃんと待つ」
屈服。
困ったことに、全く嫌じゃない。
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