強さも弱さも、まるごと全部-2

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「そんな泣くほどのことか」 「泣くよ、だって」 呆れたような声が頭上から降ってくる。 以前は、この身長差が威圧されてるみたいで嫌だった。 だけど今は、胸元に頭を預けられる高さがすごく心地よくて安心できる。 私の頭に手のひらを乗せて、藤井さんが言った。 「調教を間違えた」 「は?」 「まて、からちゃんと教えるべきだった」 「……犬?」 こっち、真剣に謝ってるのに。 犬扱いって……。 ずず、と鼻をすすって見上げると、やっぱり上から目線で意地悪に笑ってた。 けど。 「……次からは、ちゃんと待つ」 屈服。 困ったことに、全く嫌じゃない。
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