強さも弱さも、まるごと全部-2

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お風呂上がりの暖かい肌に、濡れた髪からシャンプーの香りがする。 降りた前髪の隙間から細い切れ長の目で見られたら、それだけで身体が熱くなる。 手首を引かれて、ソファに座る彼の隣に並ぶとすぐにキスが降りてきた。 濡れた髪の感触が、額に触れる。 ふ、と彼が急に口許を緩ませた。 「なに?」 「いや。思い出し笑い」 「なによ」 「会社に行ったらお前が姫扱いになってて」 「はあ?」 額を合わせたまま、彼の指が私の首筋を辿り鎖骨を撫でる。 擽ったさに目を細める私を見て、満足げに相貌が弧を描いた。 「冷やかされた。悪者に捕まった姫を助けに行った酔っ払いだと」
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