702人が本棚に入れています
本棚に追加
お風呂上がりの暖かい肌に、濡れた髪からシャンプーの香りがする。
降りた前髪の隙間から細い切れ長の目で見られたら、それだけで身体が熱くなる。
手首を引かれて、ソファに座る彼の隣に並ぶとすぐにキスが降りてきた。
濡れた髪の感触が、額に触れる。
ふ、と彼が急に口許を緩ませた。
「なに?」
「いや。思い出し笑い」
「なによ」
「会社に行ったらお前が姫扱いになってて」
「はあ?」
額を合わせたまま、彼の指が私の首筋を辿り鎖骨を撫でる。
擽ったさに目を細める私を見て、満足げに相貌が弧を描いた。
「冷やかされた。悪者に捕まった姫を助けに行った酔っ払いだと」
最初のコメントを投稿しよう!