強さも弱さも、まるごと全部-2

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「お前……」 彼の形相は、一目瞭然なほどに怒っていて、低く声は掠れていた。 大きく肩を上下させていて、眉間に皺を刻んで深く息を吸い込むと。 「ほんっとに、言うこと聞かねえ女だな!!」 怒られたのは、私だった。 余りの剣幕にびくんと肩が跳ね、そんな私にお構い無しに更に怒鳴り声は続く。 「俺が待てっつったら待てよ、鉄砲玉かお前は!」 「ごめんなさい!」 首を竦めて反射的に謝罪の言葉を口にした。 そう言えば以前、美里の一件の時にも似たような事があったと思い出す。 あの時も、私は藤井さんの制止を振り切って飛び出したのだ。
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