俺の名前を呼んでくれ。

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曖昧な私の返事に気付いて、お母さんがけらりと笑って私の肩を叩いた。 「わかんなくていいわよ、こんな面倒なの私の代で終わりでいいから」 はあ、と首を傾げて笑うしかない私。 だってここで「教えてください」なんてしゃしゃり出るのも……なんだか図々しい気がしてしまう。 だって、それでは本当に嫁気取りだ。 お母さんの口振りは、先の事を考慮してのものであることは明白だけど……私は一体、どのスタンスでここにいるべきなんだろう。 「恵美ちゃん、粕汁に水菜浮かべていってくれる?」 お母さんがお椀によそってテーブルに次々並べていき、私はざるに入った水菜をその上に浮かべていく。 人数分……とお椀を数えて、ふと気が付いた。 ……粕汁って、藤井さんは大丈夫なんだろうか?
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