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扉を開けると、藤井さんは無言で靴を脱ぎ初める。
私は奥に聞こえるか聞こえないかくらいの声で「お邪魔します」と言った。
靴を揃えて並べていると、奥の方からドタドタと複数の足音が駆けてくるのが聞こえ、来た!と心構えをして顔を上げる。
「ほら!やっぱり来てたじゃん!玄関の音したもん!」
「ほんとだ!おかえり暁兄!」
「ああ、ただいま」
「要ちゃん! お母さん! 暁兄と恵美ちゃん来たよー!」
小学生くらいの女の子三人、大中小が玄関でお出迎えしてくれて、一人の子が家の奥に大声で私達の到着を伝えてくれる。
「お邪魔します。えーっと……」
一番小さい子が萌々香ちゃんで、あと……。
名前はしっかり覚えて来たはずなのに咄嗟に顔が一致せず、慌てているうちに、真ん中の子が手土産に持ってきたシュークリームの箱を掴んだ。
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