俺の名前を呼んでくれ。

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洋菓子業界の十二月が忙しいのはもう十分身に染みていたけれど、お歳暮などの注文が殺到する百貨店ではないのだから、少しは余裕があるだろうと思っていた。 しかし、予想外の事件があり人手が足りなくなったことや、加えてショッピングモールの集客力を少々舐めていたこともあり、年末はまさに忙殺。 新店長がすぐには決まらなかったのが、理由の一つでもある。 殆ど休みも取れずに新しい年を迎え間もなく新店長も本社から配属されて、漸く気持ちの余裕もできた一月の末。 久々に、ずっと心配をかけたままだった美里に電話した。 『は? え? どういうこと?』 「どうって、だからね。今……一緒に住んでる」 そう言うと、携帯電話の向こうで何とも言えない悲鳴が聞こえた。
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