俺の名前を呼んでくれ。

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長机を三つ並べた一番端に、恐らく粕汁が入っているんだろう大きな鍋がカセットコンロに乗せてある。 その大きさに、驚いた。 まるで業務用みたいな大きな鍋で、さすがに大家族だと感心してしまう。 「恵美ちゃん、手伝って?」 「あ、はい」 大なべをお玉でぐるりと掻きまぜながらお母さんが手招きをする。 私は、バッグを藤井さんが腰を下ろした隣に置いてから近づいた。 「毎年恒例行事みたいなものなのよ。馴染みの酒蔵からいやってほど酒粕が送られてくるの」 「あ、それで粕汁パーティなんですね」 「たった一回したところで全然減らないんだけどね。後はお味噌に使ったり、色々」 「お味噌、ですか」 酒粕をどうお味噌に使うのか、さっぱりわからない。
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