俺の名前を呼んでくれ。

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これは……私から言うべきなんだろうか。 これまで、遅番も早番も関係なく深夜になっていた。 だから、当たり前のように藤井さんが迎えに来てくれていたのが……今日は久々にまともな時間に仕事を上がれる。 『今まで面倒かけてごめんね、今日からちゃんと帰るから』 帰りたいわけじゃないけど、互いになんの意思確認もないままこんな生活は良くないだろうし。 やっぱり、ここは、ちゃんと一度帰るべき……。 「そうか、じゃあ多分、俺の方が遅いから先帰って」 「あ、うん。……わかった」 ぐるぐる頭の中で考えているうちに、藤井さんの方からそんな風に言い出して、私はうっかり「わかった」なんて答えてしまったけど全然わからない。 私はどっちに、帰ればいいの。
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