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「何笑ってんのよ、暁」
「いや」
不思議そうに周囲は首を傾げる中で、私は顔の熱が上昇していくのがわかる。
俯いてまだ肩を揺らしている藤井さんからは、拗ねていると思っていたあの嫌な空気は嘘のように消えていた。
わざと!
絶対わざと!
いつまでも怒っているように見せかけられていたのだ、間違いない。
気が付いた私は腹が立って腹が立って、それ以上は声もかけずに水菜を椀に散らしていく。
「俺はいい」
「食べればいいじゃない」
口元を緩めながら藤井さんからそう言ってきたけど、むかついていた私は敢えて反論する態度。
「運転どうすんだよ」
「私がするわよ」
普段あんまり運転してないから、自信ないけど。
ここからマンションまでくらいなら、なんとかなる。
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