俺の名前を呼んでくれ。-2

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「恵美、こっち」 お膳を下げるのを手伝って戻ってくると、藤井さんに声を掛けられ腕を引かれた。 「何? 片付けまだ途中……」 「残りは要が全部下げた」 見ると、確かにまだ少し残ってた食器はテーブル上にはなくなっていて、綺麗に拭かれた後だった。 引っ張られるままに広間から廊下に出て、少し歩くと縁側のような場所に出る。 雨戸を開けると、冷やりとした風が流れ込む。 そこは道路とは塀を隔てて、細長い庭になっていた。 藤井さんは縁側に腰掛けると、屈んで石畳の辺りから灰皿を引っ張り出した。 「ここ、うちの喫煙場。お前も吸えよ」 言いながら、自分は早速煙草を咥えてライターの音を鳴らす。 私は呆れながらその横に腰かけ、首を横に振った。 「吸えるわけないでしょ」 「平気だろ、あの人も吸うし」 「あの人?」 「母親」
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