俺の名前を呼んでくれ。-2

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「そうなんだ」 かといって、ほいほいと吸えるほど私は図太くないし。 ちらりと藤井さんを見ると、別段いつもと変わらない。 だけど、お母さんのことを「あの人」と呼んだことに、どこか寂しい距離を感じる。 気にしすぎかもしれないけれど。 それ以上何も言えずにただ並んで煙草の煙を目で追っていると、目の前に煙草の箱が差し出される。 「持ってきてないんだろ」 「そうだけど、良いってば」 「最初に取り繕うと、後がしんどい」 そう言って、煙草の箱を指ではじくと中から一本が少しだけ頭を出した。 後……今後。 私と藤井さんの家族には、今後があるのだと藤井さんが意識してくれてることが、くすぐったくて口元が少し緩んだ。 「……じゃあ、一本だけ」
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