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「ちょっ……」
「動くなよずれる」
藤井さんが何をしたいかはすぐにわかったが、これはちょっと……。
「いやよ恥ずかしい! バカップルじゃあるまいし」
抵抗するけど、首は固定されてて逃げられないし、あまり暴れると煙草の先が触れ合って彼の方の火種から小さな火の粉が落ちてきそうだった。
「仕方ないだろ、点かないんだから。ほら早く吸え」
仕方ないとか言いつつ、彼の顔を見上げると何か楽しそうに口元が歪んでいる。
絶対、楽しんでる!
私が恥ずかしがってるのわかってて!
「……いつまでもこうしてる方が恥ずかしくないか」
そう言われて至近距離の彼の顔を睨みあげるが、しれっとしたもので動じるわけもない。
彼が納得するまで私の首も解放されそうになく、仕方なく煙草の先を合わせて息を吸い込んだ。
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