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「部屋のキー。泊って帰る」
「え」
言いながら、恵美に差し出した。
受け取ったものの、きょとんとした表情で此方を見上げる恵美に、意味が解っていないのかと重ねて言った。
「お前も泊る」
そう言うと、大きく目を見開いた。
その表情に、此方が首を傾げたくなる。
当然だろう、部屋とってあるのになんで恵美一人だけ帰らせるんだ。
意味が解らん。
それなのに、恵美は酷く慌てた声で俺を制止した後、母親に向かって頭を下げる。
「あの、すみません。それじゃあ……部屋まで送ってきます」
「いえいえ、こちらこそ。愚息が迷惑かけてます」
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