851人が本棚に入れています
本棚に追加
何階かと聞かれて、うろ覚えの階を押して間違えた。
酔ってはいないが、酒のせいで異様に眠気に襲われて、ところどころ記憶が抜け落ちている。
気付いたらエレベーターに再び乗って、壁に凭れていた。
「19階で間違いない? ほんとに?」
「ん」
懸命に寄り添って甲斐甲斐しい恵美が可愛くて、キスがしたくて仕方ないというのに。
「もう、お酒臭い!」
と顔を背けられて、面白くない。
隙があれば、その白い肌に擦り寄って体温を共有したくなる。
「酔いすぎ。将来酒屋さんになるの?」
「ならねえ、親父の店だし」
半ば力づくで抱き寄せて、首筋の肌に顔を摺り寄せた。
「俺だけ母親の連れ子だから、要が継ぐ方がシンプルだ」
もう何度も味わった、甘くさえ感じるその肌に浸りたい。
最初のコメントを投稿しよう!