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会う度に嫌そうな顔しか見せない、いけ好かない女で。
だけど多少の毒舌には堪えなさそうな気の強さで、俺は最初から嫌いじゃなかった。
寧ろ嫌われてるのは俺の方で、だからわざと怒らせたりしてそんな表情を楽しんでた時は余裕もあった。
あの夜の泣き顔を見せられた時から、すべてがおかしい。
「恵美」
泣いて縋ったかと思えばあからさまに距離を置かれて、二度目の夜は挑発的な夜の顔だった。
だけど深く交われば、組み敷いた身体は驚くほどに素直に応る。
溺れさせてしまえば、恍惚とした表情で目の色は何かに焦がれるようだった。
思い出しては、目の前の肌が現実だか夢の中だかわからなくなる。
「恵美」
ただ夢中で熱にうかされるように、名前を呼び続けていた。
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