見えない鎖 【藤井side】

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もう一度、何度でも あの夜みたいに、俺の前では隙だらけになって プライドなんか役に立たないくらいに粉々にして 守るものなんかなくなればいい 素直に泣いて、甘えて縋る あの表情がもう一度見たくて 散々甘やかしては、傷つけて 腕の中で、ぼろぼろ零れる涙を目の前に 湧いてくるのは、庇護欲 泣かせたい、守りたい 傷つけたい、癒したい 別に、振り回すつもりはなかった。 ただ、彼女を前に湧いてくる衝動の変化に 振り回されていたのは、俺の方だったり、する。
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