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ワインの試飲会には実家の酒屋から弟の要と母親も来るのは毎度のことで、実家が近く昔からご近所付き合いのオーガニックカフェのマスターも今日は揃って参加だった。
「そうなんですよ、僕が従業員から聞いて慌てて様子見に行ったら既にテーブルに突っ伏しちゃってて」
「嘘ぉ、かっこ悪い。暁、あんたやっぱもうちょっと鍛えないと」
「それ以前に、兄さんなんで正直に言わなかったんだろうね」
マスターと母親の会話に、要が首を傾げる。
それに、人を小馬鹿にしたような二人の口調が重なった。
「言えないだろー」
「言えないわよねー」
「人の話を肴にすんな。ってか、もう一年近く前の話を今更……」
本人目の前に、馬鹿にしてくれる。
この流れはいつものことで……この先にもある程度の予測がついて、うんざりとする。
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