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「酒屋の息子が情けないわよ、ちょっと鍛えなさいよ!」
「受け付けない体質なんだよほっとけ」
「まあまあ、もう会も終盤なんだし、少し飲んでみたら。営業が味も知らないようじゃ困るでしょ」
程よくアルコールが回って調子づいた母親に絡まれて、面白がったマスターが近くのテーブルから新しいグラスを一つ、俺に差し出す。
「もちろんテイスティングくらいはしましたよ」
言いつつ、グラスを受け取ってしまういつものパターン。
実は、ワインは嫌いじゃない。
だからつい、差し出されると手を出してしまうのだが……ひと口飲んだだけでくらりと脳が揺らされた。
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