見えない鎖【藤井side】

奴らのペースに巻き込まれないように少しずつ含んでいたつもりでも、やはり直に頭に心地よくアルコールの膜がかかってくる。

「ほら、毎日少しずつ飲めば強くなるわよ」

頭痛がし始める前の、今だけだ酔いが心地良いのは。

わかっているのに、けらけら笑う母親になみなみとワインを注ぎ足され口に運んだ。

その辺りで一度、記憶は飛んだ。

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頭の中心にガンガンと響く痛みに、顔を上げられずにいたが確かに声を聞いた気がした。

やっときた。

誰が、とは考える余地は頭にはない。
けど、早く来いと待っていた女の声に、間違いない。