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「おせえ」
そう言った自分の声すら頭に響くことに気が付いて、喋るのも億劫になった。
「ごめん、これでも終わってすぐに来たのよ」
ソファに座る俺の傍らに跪く女を、早く連れて帰りたい。
帰る……どこに?
家じゃなくて、今日は動けなくなることを見越して部屋を取ってある。
頭の中を順繰りに整理して、無理矢理酔いから目覚めようと苦労しているというのに。
いつの間にか女は立ち上がって、談笑し始めていた。
何やってんだ。
俺を迎えに来たんじゃないのか。
母親の大きな笑い声が頭に響いて、更に苛々が増した。
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