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「実家か?」
「は? 何言ってんですか。藤井さんとこじゃないの?」
さも、当然の如くそう言われて、今までその可能性を全く排除していた自分にも少し驚いた。
それだけ、傷つけた自覚はあったからかもしれない。
だが、笹倉家に身を寄せる話をしていたと聞けば、当然家には帰らないだろうと思っても仕方ないだろう。
数瞬、考え込む俺を見上げながら、美里が溜息を零して続けて言った。
「だって、恵美言いましたもん。あんまりわあわあ泣くから、それくらいなら暫く家においでって言ったのに。もう離れられそうにないって。だから、帰るしかないんだって」
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