636人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
恵美の泣き顔に惹かれてやまないのは、それをひた隠す強さも持ち合わせているからで、俺の前では泣けるのだと思わせたかったしそう思っていたかった。
だからやはり、泣かせて悪いと思う反面、苦しいほどの愛しさにも襲われる。
抱きしめたままその場に座り込んで、両足の間に恵美の身体はすっぽりと入り込む。
溢れ出る衝動を抑えようと深く息を吐き出した。
それは、いつも欲情を抑える時の行動と似ていると、ふと思う。
だが、今抑えているものは欲情とは違う衝動だと、ちゃんと気付いている。
「……そんなこと言うな」
「え……」
「聞きたい」
最初のコメントを投稿しよう!