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腕を緩めると、不安気に見上げる潤んだ瞳に、また溢れそうになる。
はあ、ともう一度息を吐きだしたが、もう抑えることなど不可能で。
「恵美」
唇で触れる度に満たされる、吐息を共有するだけで想いは募る。
ふと、あの縁側に居た時と、同じ空気が流れた気がした。
今にも溢れんばかりのグラスの水に、一滴の水が落ちて零れたように。
「あいしてる」
こんな風に、声に出さずにはいられない一瞬を、俺にも持てるのだと。
ずっと、確かめたいと思ってた。
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