第18話

言葉にするのは

昼過ぎ頃、携帯が鳴った。
誰かは表示を見れば一目瞭然で、一瞬無視してやろうかと思ったが、恵美の事が気になった。

そのことでかけてきたに違いない。

『恵美のこと泣かせないでって前にもその前にも言ったよねえ?!』

開口一番金切声で怒鳴られた。

っつうかこいつらほんとに筒抜けなんだな、と女同士の情報の速さに少々うんざりする。

「うるさい。俺が悪いわかってる」

『……悪いとかじゃなくってさ、なんで答えてあげなかったの？　一緒に住んでるってことはもう藤井さんも気持ちははっきりしてるんだと思ってた』

なんで答えなかったか。
恵美にさえ言ってやれなかったのに、なんでお前に先に言わなきゃいけない。