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吐息の熱だけが、唇の間で混ざり合う。 温かくて煽情的で、あんなに不安に押し潰されていた心が凪いでいく。 ふ、と。 あの、やけに甘くて幸せだった、縁側で嗅いだ煙草の匂いが鼻を掠めたような錯覚に襲われた。 目を閉じれば、戻れそうな気がする。 あの、優しい、瞬間。 「あいしてる」 彼の口から吐息に混じって零れた言葉は、私が知る言葉と同じだとは思えないくらい。 美しい響きだと、思った。
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