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まるで、夢見心地だった。
夢じゃないかと、本気で思った。
唇が掠めるのに重ね合うことはなく、不意に離れ瞼や額に口づけられる。
「嘘……」
「嘘じゃない」
「だって……」
だって。
それならなんで、あの時何も。
私が言いたいことがわかったのか、暁さんは少し目を逸らしてバツが悪そうだったけど。
「……見惚れてた」
「え……?」
「息を飲むくらい綺麗で、言葉に詰まるくらい嬉しかった」
そんな、彼から聞くには余りにも嘘くさい言葉を聞けた。
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