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そうだ。
もしも嘘なら、あんなに美しく響くはずない。
思い出しただけで、くらくらと目眩がする。
そんな私の顔を掴んで、まるで吐息で触れるみたいに輪郭を辿り耳元に唇を寄せ、もう一度聞かされる。
「……あいしてる」
はあ……と、深く息を吐き出して目を閉じる。
彼の言葉が身体に浸透するように。
幸せすぎて、世界が揺れる。
ずる、と彼の身体に全身を預けて、自分がやけに熱いことに気が付いた。
「恵美? 恵美!」
なんでだろう。
なぜか焦ったように名前を呼ぶ、すぐ傍にいるはずの彼の声が、やけに遠い。
そこで私は、再び意識を手放した。
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