Only you are seen.

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何せヤキモチを妬いた彼の相手をするのは、一苦労なのだ。 思い出しただけで……ぞく、と寒気がするのと同時に、ちょっと嬉しい。 彼が私のことを「面倒だけどいやじゃない」と言う気持ちが、少しわかった気がする。 「……萌々香と要とした約束って一体なんだ」 「遊園地についてきてってせがまれたの。学校の創立記念日に友達と行くんだって。皆はお母さんと一緒なのに、萌々香ちゃんはお母さんもお姉さんたちも行けないらしくて……だから萌々香ちゃんと私と」 「要も一緒にか」 「……うん」 正直にそう言って頷くと、暁さんはますます眉根を寄せる。 私は布団を少し引き上げて半分顔を隠しながら、彼の反応を待っていると。 深々と、溜息と共に彼が言った。
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