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今度こそ、ウザいと思われなかっただろうか。
不安で不安で、押し潰されそうで。
嫌われなかっただろうか。
そればかり心配している私と、美里の意見は食い違っている。
『無いよ、藤井さんのその態度は。ちょっとヒヤヒヤさせた方がいいよ』
美里がそんな風に本気で怒るのは、珍しいと思う。
けれど、私は美里の言葉に頷くことはできなかった。
「いい。帰る」
『恵美……だってしんどいでしょ?』
「帰る。だって……」
今も名残でしゃくりあげながら、周囲の視線を集め歩く私の足は、ちゃんと向かっているのだ、彼のマンションに。
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