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もう泣きすぎて、頭が痛い。
ぐらぐら頭が揺れるくらいの激しい眩暈も、きっと泣きすぎたせい。
身体中の水分が出てしまったんじゃないかってくらい泣いて、ああ、だから喉が渇くのか、なんて思考回路が少し楽な方へ逃げようとする。
だけど、玄関で音がした途端、どくんと痛い程に心臓が跳ねた。
電気のスィッチを入れる音、小さく聞こえる私を呼ぶ声、途中寝室のドアを開けた後、すぐに近づく早足の音。
リビングの灯りが点くと同時に聞こえた声は確かに暁さんの声。
「真っ暗なままで何やってたんだ」
きっと私のことが鬱陶しくなって今日は帰るつもりがないのだと、すっかりマイナス感情に飲み込まれていた私は驚いて振り向いた。
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