第1章

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日曜日はダラダラゆっくりしていたいが、朝10時前から園生叔父さんが俺の支度をリビングでテレビを見ながら待っている。 髪をプローしながら俺はマイペースでいこうと 『早くしろぉ~っ』 そんな声をシャットアウトしようとしていた。 5月に入っているが半袖のシャツに膝丈のジーパンでちょうど良いと俺は、シルバーのプーリウスに乗った。 車が進み、後ろに視線を向けると両親並んでまだ手を振っていた。 『呑気だよ、まったく。 母さんも父さんも…俺の日曜日は最悪になりそうだって~のに笑顔で送り出しちゃって』 『最悪?最高の間違いじゃねぇのか?マネージャーがメシおごってやるって待っているぜ』 『俺は友達と映画にでも…あっ』 過ぎゆく通行人の中にあの子を見かけた。 オシャレしちゃって…隣は同じクラスの女子か。 デートじゃない事だけはたしかだな、ホッとする俺。 『ちょっと止めてよ』 『急には止まんねぇよ、どしたんだ?あの女子達の集団か?かわいい子いたのか?中学の時みたいに叔父さんに任せれば片想いくらい両想いにして…』 『い…良いんだ。もう良いからこのまま通り過ぎて』 変な奴~と笑ってもともとの進行方向へと車を右折させる叔父。 冗談じゃない… 片想いを知った叔父は意中のあの子へ、校門前でメガホンで想いを打ち明けてしまったんだ。 恥ずかしそうにあの子は走って逃げて後々俺は返事の代わりに顔にビンタ。 『周りにガンガン響きわたる声で替わりの告白?最低よ、あんたなんか好きじゃないから』 祐希… 祐希?おい、コラ。 着いたけど? そう言って俺の肩を揺さぶる叔父に、俺は中学の忘れたい思い出から我にかえった。 『おめぇはよ、まだ寝てんじゃねぇのか?店に着いたぜ』 『あぁ、うん』 ステーキハウスの旨いと評判の店は、家族連れ・デートらしきカップル・20代以上の大人達の団体等でテーブルはいっぱいだった。 『園生様ですね、予約席へご案内致します』 ウエイターの後に続きながら、園生叔父さんと時々食事するとこんな場面もあった事を思い出す。 ガキが小遣い握って行くような店とは違い、 内装も行き交うウエイターもどことなく垢抜けている気がする。 スマホでの写真で見たマネージャーという人物が片手を上げ、隣には知らない女の人が座っていた。 園生叔父さんは2人に軽く挨拶をし、俺を紹介している。
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