第1章

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俺のファーストキスが野郎に奪われて最高に不機嫌な月曜日を向かえた。 A私立高は家から最寄り駅、3つ先の駅から歩いて10分程の場所。 立地は街の中心地にあり交通量もハンパないが歩行者等への配慮はきちんとされている為に通学には問題ない。 黒のジャケットに赤いネクタイ、グレーのズボンに黒の靴。 6月になれば夏服で半袖になるが、もう暑くて仕方ねぇ。 隣の机に群がって雑誌を見ながら騒いでる女子達。 ウゼェ! って言いたいとこだけど、片想いのあの子が喋りに混ざっていて俺は聞き耳をたてた。 『昨日のイベントのせいであたし眠れてない』 『美羽だけサインもらえなかった事とダブルだもんね』 『それを言わないで、ショックなんだから』 『出待ちに顔見れただけ良いと思わなきゃいけないけど、美羽だけって可哀想』『恭介の一目惚れ宣言が頭から離れないの』 坂崎美羽が言う恭介とは… 俺は女子達が見てる雑誌を『見せて』と頼み、紙面をマジマジと凝視した。 間違いない! 昨日キスを奪いやがった野郎はコイツだ。 『キザ野郎がっ』 俺は吐き捨てるように言い雑誌を女子達に返した。 黒い髪を無造作に、あちこち遊ばせた漫画に出てきそうなキャラクター。 ピアスに薄いメーク。 流行りのシャツを着くずしてウインクした写真。 キザ野郎が。 『あたし恭介の誕生日にプレゼント送っちゃう予定なの~』 『リア彼氏作んないの?』『リア彼氏なんていらない、恭介がいるもん』 キスに続きリアルでショックだ!
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