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同い年であり、
同じ私立の小学校に入学し、
そのまま中学に進学した賢二との腐れ縁は、
中3になる現在まで続いている。
けれど、公立の小・中学校を選んだ一朗とは、
最近では遊ぶ事はほとんどなく、
彼が中学に入学した直後から
バンドを始めた事は知っていても、
ライブを観に来たのは今回が始めてだった。
厳格な家庭で育った彼女は塾の時は別として、
親の同伴無く夜に外出するのを禁じられていたし、
ましてやライブハウスへ行くなど、
たとえ昼の時間帯でも心配性の母が許す訳がない。
けれど今夜、彼女の両親は、
明日の朝、遠方で行われる
法事の為に家を留守にしていた。
通常であれば当然『かえでも一緒に……』
となるはずだが、
都合が良かった事に、
明日は全国模試の日程が組まれていた。
今回受けても受けなくても、
結果が良くても悪くても、
模試くらい今後いくらでも受けられる。
たった一度の試験に神経質になる気は
更々無いかえでだったけれど、
『大事な模試がある』というワードは、
彼女の母親を懐柔するのに最適な大義名分になった。
という訳だ。
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