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金色の斜陽に染まる街が 溢れ出した音と光に溺れていく。 煌めき始めた偽りの光を浴びて、 街は息吹き、鼓動を刻み始める。 落書きだらけのシャッターが開け放たれ。 薄汚れた外壁がイルミネーションのベールに 包まれていった。 君島(きみしま)かえでは 幼馴染みの篠原賢二(しのはらけんじ)と肩を並べ、 陽の傾きと共に電飾に彩られていく 西神(にしじん)駅北口の裏通りを歩いていた。 大都会でもなく、 かといって田舎でもない地方都市。 某県西神市。 その中心街である西神本町が 静寂に包まれるのは 東の地平線が淡く滲み始める頃。 そして、空に星が溶け 鳥のさえずりが聞こえ始めるまでの 僅かな時間しかない。 南口の駅前にある学習塾に通うかえでが 週に5日は足を運ぶ場所でもある。 しかし駅ビルを挟んだ向こう側―― 北口に行く機会はほとんどなく。 ましてや、 このような時間帯に訪れるのは 初めてに等しかった。
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