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かえでは周囲の生徒に謝りながら脇に避けて、
ガードレールの切れ間から車道へ出た。
車道といっても片側一車線ずつの
交通量も少ない道路だ、
路肩に立っていてもそう危険ではない。
そのまま振り返って、
道路の向い側とはいえ
校門の真正面に白いスクーターをとめ、
瑛蘭の制服を着た女子2人と
話し込む亮に視線を向けた。
やたらとハイテンションの2人は、
それぞれに手にしたスマホを
亮の眼前にかざしたり、
交替で隣に寄り添ったりして、
どうやら写真を撮っているようだ。
亮の姿を見つけた時は、
もしかして自分に用があって
ここへ来たのかと思ったけれど、
かえでの勘違いだったのだろう。
そもそも、私が瑛蘭の生徒だってこと、
浅井さんが知ってるわけないしね。
ここで声を掛けたところで、
自分が感じているほど彼が
この偶然の再会を喜んだり、
あるいは驚いたりしてくれるとも思えない。
せっかく知り合いの子たちと話しているのに、
あえて水をさす必要はない。
そう考えてかえでは踵を返した。
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