100人が本棚に入れています
本棚に追加
「つうか何で俺、
マルキヨを語ってんだ?
カッコわる」
初めて楽屋で会った時とは
まるで別人のように亮は良く笑う。
黙っている時の目付きはちょっぴり、
いや、かなり悪いけれど、
会話時の柔らかな表情と
ゆったりした口調のせいか、
異性に免疫の無いかえででも
怖いと感じる事は無かった。
まあ、
慣れないシチュエーションに
緊張するのは仕方がないけれど。
「イチ、来るってさ」
注文を終えた後、
スマホをいじっていた亮はそう言うと、
右頬にえくぼを刻みくつくつと笑った。
「え?」
「一朗に今かえでと一緒に居るって送ったら、
速攻で『俺も行く』って来たし。
大事にされてんね」
ちょっぴり揶揄のこもったその言葉に
かえではまつげを伏せて嘆息を漏らした。
「イチくんが過保護なだけですよ」
「大事な妹分だから?」
「……そうです」
過保護なのも、
優しくしてくれるのも、
可愛がってくれるのも全部、
一朗がかえでの事を
妹のように思っているから。
最初のコメントを投稿しよう!