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かえでが怒っても、
我儘を言って困らせても、
きっと彼は笑って許してくれる。
そう信じられるくらいの絆が
2人にはあると、
かえでは思っている。
この関係はこれからもずっと、
何があっても変わらないのだろう。
その事実に物足りなさを感じた所で、
この関係を壊す勇気など持っていない。
ふっと曇ったかえでの顔を
亮がじっと見ていたことなど、
当のかえでは全く気付かなかった。
「何やってんだよ。オマエわ!」
しばらくして
店に駆け込んできた一朗の第一声が
これ。
「メシ食ってんだよ」
「……んな事は見りゃ分かるし」
「なら訊くな」
一朗と亮が不毛な会話を繰り広げる中、
対面のかえでは背中を丸めて
ひたすらテーブルの端と
にらめっこをしていた。
目の前の2人、目立ち過ぎ!
オレンジ色の頭髪をした亮と
2人で居た時でさえ、
時おり遠慮がちな視線を感じていたのが、
まばゆいド金髪で
長身の一朗が加わった事で、
余計に目を引く事になったようだ。
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