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「海行くぞ! う・み!」
勢いよく開いたドアから、
派手な柄のシャツに短パン姿の一朗が入ってきて、
「うを……!? っと……」
瞳を丸くして振り返ったかえでと目が合い、
大げさに仰け反った。
「かえでー来てたの?」
「何か用? つうか何その格好?」
賢二が醒めた眼差しで一朗を見上げる。
「ゴメンよぉ兄ちゃん。
2人っきりの部屋にノックも無しに……」
思いっきり気まずそうな顔をしている一朗を、
かえでとはテーブルを挟んで対面に座る賢二は、
シャーペンを指先でクルクルと器用に回しながら
素っ気無く言い放つ。
「アンタなに気まずくなってんの?
別に見られて困るような事してないから。
つうか何時どんな時でも人の部屋に入る時は、
ノックくらいしろよ?」
「いや。そうだネ。まったく……」
冷房の効いた部屋に廊下の熱気が流れ込み、
あっという間に室温が上昇し始める。
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