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「いけぇ!タカシーー!!」
「オフェンスーー!!」
市立体育館の中で、バスケットボールの試合が行われている。柔らかくボールを突く音が、テンポを早めると同時に強くなる。
シューズと床がこすれ合い、選手の動きの俊敏さを物語る。
青いユニフォーム、京野高校背番号8、PGポジション天嶋鷹志(あましま たかし)は、ドリブルでセンターサークルまで駆け上がり、ゴール下に陣取るチームメイトにパスをする。
しかし、距離がありすぎたのか相手チームのガードにボールをカットされる。先ほどから同じインターセプトを何回も受けているのにやり方を変えない鷹志に、チームメイトたちは苛立ちを隠せなかった。
「なにやってんだよーー!!」
応援席にいる友人や補欠の部員たちからも、溜息が漏れる。
高校バスケットボールインターハイ予選、これに勝ち上がれば、鷹志の京野高校はベスト8となる。
しかし、1回戦から一本調子の鷹志の攻めは、並み居る強豪校にはすでにバレてしまっているのだろう、先ほどからフロントコートにボールは運べるものの、シュートにまで至れない時間帯が続いている。と、そこにブザーが響き渡る
。
「チャージドタイムアウト!京野!!」
もう第3ピリオドも終わる、そんなときにタイムアウトかよ、と鷹志はむくれながらベンチに引いた。
「天嶋、もう少しゴール手前までボールを運べ。」
監督はそう言うと、他の選手にも個別に指示を出していった。
やがてタイムアウトの1分間が終わろうとする。
汗を拭い、コートに戻ろうと、鷹志はベンチから立ち上がる。
「天嶋くん!」
「…ん?」
ベンチに座っていたマネージャーの寺本理緒(てらもと りお)が声をかけてきた。
「頑張って…!パスが出せないなら、ペネトレイトしちゃいなよ!」
言いながらガッツポーズを見せる彼女に、鷹志はこくん、と頷いた。
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