無魂電話

ムゴンデンワ

　お洗濯終了。さて、次は何をしようかしら。

　そう思っていた矢先、

ジリリリリリン！

　けたたましい音を立て、黒電話が鳴った。

ジリリリリリン！

　はいはい。そんなに呼ばなくても今出ますよ。

　私はベルが収まる一瞬のタイミングで受話器を取った。

「はい、井藤でございます」

『…………』

「もしもし？」

『…………』

「あの、ご用件は？」

『…………』

　あまりに一向に何も言わないため、痺れを切らし私は電話を切った。

　間違い……いえ、イタズラ電話かしら。失礼しちゃうわ。