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「失礼します。あ、先生。ちょっとこれ怪我しちゃって、絆創膏あります?できれば三個欲しいんだけど。」
そんな中、待ち人が来た。相変わらずの金髪。この金髪が許される理由、それは彼の頭脳にある。
彼はほとんど勉強をしていないかのような、余裕の表情でテスト問題を完璧にこなす。その頭脳に、我々はとても期待しているのである。
「いいけど、何でそんなに怪我するのかね。この二人は本当にもう…」
「は?え?夕、怪我したの?いつ?何処で?見せて。」
彼の目の色が少し変わった。自分の大切な人を見る目だ。こういう目が出来るのかと、僕は最近になってようやく気付いた。
恋というのは、何とも素敵なもので、何とも神秘的なものだ。
僕はまさかここまで年下の同姓から、しかも自分より大分年下の生徒から教わるなんて、夢にも思っていなかった。
「別に大した事ないです。転んだだけで。」
「まじで。大丈夫かよ…」
「そろそろ帰りなさい。カップルさん。」
「もうそういうのほんとにいいから。じゃあ、俺の夕は返してもらおうか。」
こういう台詞を恥ずかしげもなく堂々と言える男に、僕もなりたかったものだ。
「何言ってるか全然わかんないね。」
「何だよ。ノリ悪いな。でもまじでありがとう先生。じゃあ行くわ。」
「ありがとうございます。」
僕は二人の後ろ姿を静かに見つめていた。この後の二人はきっと、またそれぞれの思惑に胸を震わせるのであろう。
嫉妬は、時にスパイスになるのだな。また勉強になった。
申し遅れましたが、僕は養護教諭の坂本と申します。保健室の先生です、勤続3年です。彼女はいません、募集中です。
「いいな。恋か。何年してないかな。」
もうすぐ夏が来る。
僕も恋をしよう。そう思った。
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