Gospel of beginning #2

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落ち着いて考えれば、そもそも声帯を除去してある人が、あれほど明瞭な声を出せるはずがなかったと気付く。 「びっくり……。 あの、ゼロさん、喋れたんですか?」 黙っているのも居心地が悪いので、私はその場に一番似つかわしいであろう話題を、おずおずと提供した。 すると、他二人の時と同様、タブレットが差し出される。 画面に何が表示されているかなんて、見るまでもない。 「“余計な事は申し上げぬよう、旦那様から仰せつかっております”……でしょ? いちいちありがとう」 軽い嫌味を受けて、黒い瞳が一気に険を増した。 やはり私は嫌われているらしい。
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