Gospel of beginning #2

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雑談に付き合ってくれるつもりもないのだろう。 ゼロさんはタブレットを腰のポーチに片付けてしまった。 そして顔を上げ、短く鋭い口笛を吹く。 すぐさまグレーの鳥が一羽やってきて、ゼロさんの肩にとまった。 猫程の大きさもある鳥。 尾羽に朱色が混ざっている。 ヨウムだ。 耳にくちばしを擦り寄せてみたり、黒髪を引っ張ってみたりという行為は、甘えの証。 どうやらこのヨウムは、ゼロさんが大好きらしい。 獣医を目指していた私は、もちろん動物好き。 鳥のそんな可愛らしい姿を見せられて、黙ってなんかいられない。
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